図形:方べきの定理
方べきの定理です.どんな定理かと簡単に伝えるなら上図の通りですが,どのような状態なのか分かりにくいかと思います.
上図には3つの図がありますが,3つとも方べきの定理です.
どういう状態の時に方べきの定理とは何なのか,混乱する学生が多いですが,一言でいえば
円に2本の線が引かれているときに掛け算についての等式が成立する
と認識して下さい.
方べきの定理の定理は一見複雑そうにも見えますが,証明は実にシンプルで三角形の相似だけです.
ですので,受験生の中には方べきの定理の定理は覚えずに,三角形の相似を見つけるようにするという方も
たくさんおられますし,それが可能であるなら方べきの定理はわざわざ覚えなくても結構です.
しかし,この方べき定理はセンター試験での出題率が高いのに,方べきの定理を使えるのに気が付かないという
特徴があります.受験生だった当時の自分もそうですが,形が複雑なためか中々気が付くのが難しいようです.頭に叩き込みましょう.
またこのページの最後に3つの方べきの定理を一度に覚える方法を書いておきます
まずは右図の形についてみてみましょう.円に対して2本の線を引き,その線同士が円の外で交わっている状況です.
このとき
「どれ」かける「どれ」 が 「なに」かける「なに」 なのか
きちんと指差し確認で声に出して覚えましょう.
証明についてはいたってシンプルです.
別のページで紹介している円に内接する四角形の性質を利用すれば図中のθが 同じ大きさであることが分かるかと思います.
これさえ分かれば△ABCと△AEDは相似だと分かるので
a:d=c:b
より
a・b=c・d
となります.
もう一度言いますが
「どれ」かける「どれ」 が 「なに」かける「なに」 なのか
きちんと指差し確認で声に出して覚えましょう.
この形は証明できるようになるよりも,暗記してしまった方が楽なことがおおいです.
次に右図の形の方べきの定理についてです.何やら複雑そうな形をしているようにも見えますが,ちょっと良く見て下さい.
先程の方べきの定理の形と良く似ています.
そこで次のアニメーションを見て下さい.
やや強引ではありますが
1つめの方べきの定理の形を変化させていくと2つ目の方べきの定理の形
になります.
2つめの方べきの定理は1つめ方べきの定理の片方の線を円の接線にした状態にすぎず,実は形としては あまり変わらないのです.
証明についてはいたってシンプルです.
別のページで紹介している接弦定理を利用すれば図中のθが 同じ大きさであることが分かるかと思います.
これさえ分かれば△ABCと△ACEは相似だと分かるので
a:d=c:a
より
a・a=c・d
となります.
重ね重ねにはなりますが
「どれ」かける「どれ」 が 「なに」かける「なに」 なのか
きちんと指差し確認で声に出して覚えましょう!!
右図で暗記してしまえば1つ目と2つ目の形を忘れることはないでしょう.
最後に右図の形の方べきの定理についてです.円に対して2本の線を引き,その線同士が円の内部で交わっている状況です.
やはりやることは同じです.
「どれ」かける「どれ」 が 「なに」かける「なに」 なのか
きちんと指差し確認で声に出して覚えましょう!!!
やはりこちらも証明についてはいたってシンプルです.
別のページで紹介している円周角の定理を利用すれば図中のθが 同じ大きさであることが分かるかと思います.
これさえ分かれば△ABCと△EDCは相似だと分かるので
a:d=c:b
より
a・b=c・d
となります.
以上3つが方べきの定理です.覚えられましたでしょうか?
最後になりますが3つの方べきの定理を一度に覚える方法もあります.
それは
円に引いた2本の線の交点から,円と線との交点について
1つの線上で2線の交点から円との交点までの距離2つを掛け合わせた積は
もう1つの線上で2線の交点から円との交点までの距離2つを掛け合わせた積に等しい
やや長ったらしいので,このように覚えるとかえって混乱するかもしれません.この方法の方が分かりやすい,という人はこちらの方法で覚えて置くとよいでしょう.