平面幾何(斜交座標系)

 タイトルを見て不審に思った方もいることでしょう。「斜交座標・・・・・・・はぁっ??」と。
斜交座標なんて聞いたことがない方も多いと思います。しかし、この斜交座標というのが平面幾何において大きな力を発揮することがあるのです。ここでは斜交座標を用いた平面幾何への取り組みをしてみたいと思います。
まずは具体的にどういった問題に対して力を発揮するのか問題例を見ます。



  <平面幾何の画像が表示されていません!>     右図で示された α:βの比 を求めなさい。



 さて、どうでしょうか?この問題なら難なく解ける、あるいは見たことがある、という方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
しかし、これをどのような方法で考えましたか?この問題の答えを求めるための手順は実は沢山あるのです。ここではそのうちの3つを紹介します。





    ベクトルを使って解く

 おそらくこの方法が最も多いと考えています。一般の参考書の解説に載っているものではベクトルを利用します。解き方としては次の方法になります。
  <平面幾何の画像が表示されていません!>  

 まずは右図のように   <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を取ります。
そしてこの   <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を用いて他のベクトルについても 考えてみることにします。



  <平面幾何の画像が表示されていません!>  


 すぐに分かるものとしては   <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   をそれぞれ[1:2],[3:2]に分ける地点の評価が出来ます。
これは比を考えればすぐに分かり、右図のように 1/3  <平面幾何の画像が表示されていません!>   , 3/5  <平面幾何の画像が表示されていません!>   と取ることが出来ます。


  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
 ここからの流れは割とお決まりとなっていますが、初めてみる方は覚えてしまっても良いかもしれません。
まず右図のような三角形に注目してみます。そしてさらに右図のように   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を用意し、 これを   <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を用いて表すことを考えます。
しかし、このままでは評価の仕様がないので   <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点は 1/3  <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点と   <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点とを 1 - s : s (ただし、0≦s≦1)に内分する点だと考えます。
そうすると内分点の性質から
     <平面幾何の画像が表示されていません!>   = s/3  <平面幾何の画像が表示されていません!>  (1 - s)  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
こうすることで、s を用いて無理やり   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を評価することが出来ました。



  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
 次に右図のような三角形に注目してみます。そして先程と同様、   <平面幾何の画像が表示されていません!>    <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を用いて表すことを考えます。
しかし、やはりこのままでは評価の仕様がないので   <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点は   <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点と 3/5  <平面幾何の画像が表示されていません!>   の地点とを 1 - t : t (ただし、0≦t≦1)に内分する点だと考えます。
よって先程と同様に、内分点の性質から
     <平面幾何の画像が表示されていません!>   = t  <平面幾何の画像が表示されていません!>  3(1 - t)/5  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
こうすることで、今度は t を用いて   <平面幾何の画像が表示されていません!>   を評価することが出来ました。



  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
 以上の話を踏まえると   <平面幾何の画像が表示されていません!>   が2種類の方法で表現されていて、
     <平面幾何の画像が表示されていません!>   = t  <平面幾何の画像が表示されていません!>  3(1 - t)/5  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
     <平面幾何の画像が表示されていません!>   = s/3  <平面幾何の画像が表示されていません!>  (1 - s)  <平面幾何の画像が表示されていません!>  
となっています。
ここで  <平面幾何の画像が表示されていません!>   ,   <平面幾何の画像が表示されていません!>   がそれぞれ1次独立であることを踏まえると、
   t = s/3
   3(1 - t)/5 = (1 - s)
となる必要があります。
上の式を解くと
   s = 1/2
   t = 1/6
となります。


  <平面幾何の画像が表示されていません!>    さてこのように s, t を求める事が出来ましたが、このことから何が分かったのか押さえておりますでしょうか?
求めた s, t を代入しますと右図のようになります。
今求めたかったのは α:β であったのでこれは幾つなのか?というと
    α:β = 1/2 : 1/2 = 1 : 1

 以上によりベクトルを用いて求める事が出来ました。
基本的な流れとしましては

  1:ベクトルを用いて表記する
  2:ある量を2通りの方法で表記することで、1次独立であることを利用して式を作る

という流れになっています。
次のページからこの問題について斜交座標を用いた解法で触れていきます。