平面幾何(斜交座標系)
前回に引き続き同じ問題を取り扱ってます。前ページではベクトルを用いた解法を解説いたしましたが、今回は斜交座標を
用いた解説をしたいと思います。
右図で示された α:βの比 を求めなさい。
斜交座標を使って解く
まず斜交座標とは何か?という話からしなくてはいけないですね。恐らく学校等で習う座標系は今まで直交座標系しか扱ってきていなかったはずです。
今まで習ってきた"直交座標"とは何であったか、というとX軸、Y軸が90度のなす角で互いに交わっているもの、です。
それに対してここで扱う"斜交座標"というのはX軸、Y軸のなす角が90度であるとは限りません。30度等でも良いのです。
何を言っているのか分からないと思うので図に示します。
右に示した図では"直交座標"に点・直線・図形などを描いたものをそのまま"斜交座標"系に投影させたものです。
ここで注目して欲しいのは、"斜交座標"系で書くと直線等の長さ・角度は変化しますが描いた図形等の 位置関係・形・比…等は変化していないということです。
イメージとしては直交座標の図を斜め上の角度から見ることで分かります。
紙等に図・絵を書いて、正面からではなく斜めの角度から見たりすると絵がひしゃげて見えたりしますよね??まさにアレです。
斜めから見ると絵がひしゃげるので長さ等は変化してみえますが、 位置関係・形・比は不変ですよね?
今回の問題になっている図形を描いて見ると右図のように描く事が出来ます。
今求めたいのは α:β です。比は不変なので、右図のように 斜交座標でα:βを求めても直交座標で求めても答えは同じとなるのです。
ここがかなり重要なポイントなので気をつけましょう。
するとどうでしょうか?右の図を見ただけで α:β が求められる気がしませんか?
それでは以下丁寧に解答を作ります。とりあえず、次の解答を読んでみて下さい。
以上のように、 斜交座標系を用いれば平面幾何の問題がただの直線の交点の問題になってしまうのです。
計算も非常に簡単ですし、何といっても直観的に答えが分かります。
ベクトルで解いた時はsやtがやや式の中にたくさん出てきて混乱することがありますが、この解法ならただのグラフの問題なのでそういった煩雑さは回避できます。
また後ほど紹介しますが、やや煩雑な図形でもスマートに解くことができますので私のお勧めの解法です。
ただ注意して欲しいのが「Oを原点としOA,OBを規定とする斜交座標系XYを用意・・・」という記述です。
まずこの文の意味としては簡単に言えば『OA方向・OB方向にX軸・Y軸を取ってAを(1,0),Bを(0,1)にするよ』という意味です。
このような記述をせずに勝手に斜交座標を使うのはNGです。通常我々が使うのは直交座標なのできちんと自分が使用する斜交座標系を定義してやる必要があるのです。記述式の試験の場合には この記述を怠ると以降の解答を読んでもらえない可能性すらありますので、絶対に書くようにして下さい。