数列
数列という言葉に馴染みはあるでしょうか?要するに数の列です。
よって数列とは次のようなものを指します。
(1)?(4)のように数が並んでいれば数列です。しかし、ただ無作為に並んでいるだけの数列は扱いません。必ず何らかな規則性のある数列を扱います。
上の数列の規則性がそれぞれ分かるでしょうか?まずはここが分かることが大切です。
答えから言いますと
(1)1ずつ減る(等差数列)
(2)2ずつ増える(等差数列)
(3)2乗した値が並んでいる(あるいは階差数列)
(4)2倍していく(等比数列)
という規則性があります。数列の規則性に今気付けなくても問題ありません。問題数をこなすうちに身に付きます。
中学受験などで扱う数列はせいぜいこの程度の認識で良いのですが、この数列を羅列して表記するという手法にはやや難があります。
たとえば「(2)の数列の1000番目の値はなんですか?」と言われたときです。1,3,5,7,9,11,…と書き連ねる方法もありますが、これでは限界があります。
そこで数列を{an}を使って表記することで何番目の値でもすぐに求められるようにします。 この an とはn番目の値のことを示しており、例えば a4 と書けば数列の4番目の値の事を示します。
上の(1)の数列で考えると、
a1=100
a2=99
a3=98
となります。
しかし、このように a6=… などと一つ一つ書いていては先程の羅列した表記と何ら意味の違いはありません。
そこで{an}をnの式で表します。どうやって作るのかはさておき上の羅列して表記した(1)?(4)の数列を 今度は{an}で表すと
となります。
確認のために(2)のnに3を代入してみましょう。すると a3=5 となります。 (2)の数列の3番目の値は確かに5であったためこの値は正しいですね。その他諸々の値を代入すれば全て正しいことが分かります。
このように an を使った表記をすると先程言ったような「(2)の数列の1000番目の値はなんですか?」といった問題にも すぐさま答える事が出来ます。実際に解いてみると
a1000 = 2×1000-1 = 1999
となります。 an を使った表記の便利さが分かったでしょうか?
さて{an}は便利だな、と感じて頂けたかと思うのですが、数列を表記する方法をもう一つ学んでおかなければなりません。
それは漸化式と言われるものです。
この表記法での特徴は先程と同じように{an}を用いるのですが、{an}を直前の値との 関係によって値を定めるというものです。具体的には次のようなものです。
a1=1,an+1=2an+3
通常このようにa1の値と{an}の直前の値との関係式の2つを使って表記されます。 これはある数列を表しているわけですが、どのような数列か羅列できますか?実際にn=1から順番に代入してみましょう。
a1 = 1
a2 = 2a1+3 = 2×1+3 = 5
a3 = 2a2+3 = 2×5+3 = 13
a4 = 2a3+3 = 2×13+3 = 29
a5 = 2a4+3 = 2×29+3 = 61
とこのように順に求められ、この数列は
1, 5, 13, 29, 61,…
という一見規則性などなさそうな数列(実は階差数列)になっています。
さてでは先程の(1)?(4)の数列を漸化式の形で書きなおしてみましょう。やってみると次のようになります。
これらの値も実際に代入してみることで正しいことが分かるかと思います。
しかし、これら漸化式の表記法はこれだけではいまいち使い勝手が良くないです。例えば先程言ったような「(2)の数列の1000番目の値はなんですか?」といった問題を解こうとしても 1番目から順番に求めていくしかないので、答えには中々たどり着きません。しかし、このような表記方法が便利な場合もありますし、漸化式という表記方法を知っておく必要があるので 良く覚えておいて下さい。漸化式の話はまた先のページで詳しく解説することになります。
一般に数列の問題は an を使って n の式で表すのが最終目標であることが殆どです。
しかし、数列の表記方法は主にここで紹介した3種類の方法があるのだ、ということに注意しておきましょう。まとめますと
となります。次のページから実際に数列を一般項{an}を用いて表記する術を学んでいきます。