増減表の書き方

導関数の正負

 前のページでの疑問をここで解消しましょう。導関数が0になる点が極大点なのか、極小点なのか、 そのどちらでもないのかを見分けるには、増減表というものを書きます。しかしその前に もう一つ簡単な事実を確認しておく必要があります。それは導関数の値の正負と接線の傾きの関係です。 これはもう半ば明白で、導関数の値はその点での接線の傾きに一致するわけですから、 導関数の値が負になるような点では接線の傾きは負になり、逆に導関数の値が正になるような点では 接線の傾きは正になります。

 ここでもう少し突っ込んでみます。接線の傾きが負であるような領域というのは、実は 関数がどんどん減少していく領域になっており、逆に接線の傾きが正であるような領域では 関数はどんどん増加していきます。例えば放物線の左半分と右半分を思い浮かべれば、これは 当たり前のことだと言えます。

面倒だが書くしかないのだ

 以上を踏まえた上で増減表の話に戻ります。増減表とは、x、f(x)、f'(x)の関係を表にまとめたものです。 具体的な書き方の手順は以下のようになります。

  1. f'(x)=0となるxを求める。
  2. 増減表のxの欄に、上で求めたxの値を書き入れ、そのときのf'(x)の欄に0を書き入れる。
  3. 上で求めたxの値の間、および外側の適当な値をそれぞれ選び、f'(x)に代入する。
  4. そうして求めたf'(x)の符号が正ならf'(x)の欄に+を、負なら-を記入する。
  5. f(x)の欄に、f'(x)が+なら右上矢印を、-なら右下矢印を書き込む。
  6. もしf'(x)=0となるそれぞれのxおいてf(x)が極値を取るなら、そのときのf(x)の値を記入する。

 ここでは例としてf(x)=x3 + 3x2-9x + 1の増減表を 書いてみましょう。  まずf(x)をxで微分します。
fm5-1.png
次にf'(x)=0となるxを求めます。f'(x)=0ということは、つまり傾きが0になるxを求めるわけですね。
fm5-2.png
上で得られたx=-3,1を表に書き入れます。また、当然この時のf'(x)の値は0となるので、それも書き入れます。

x ・・・ -3 ・・・ 1 ・・・
f'(x)   0   0  
f(x)          

 そして、上で得られたx=-3と1の間、および外側から適当な値を選びます。これは何でもよいのですが、ここでは -4, 0, 2を選ぶことにします。これをf'(x)に代入します。
fm5-3.png
これよりx=4でf'(x)>0、x=0でf'(x)<0、そしてx=2でf'(x)>0と分かりました。これに従ってf'(x)の欄に+、および-を記入します。 さらにそれをもとに、f(x)の欄に右上矢印、右下矢印を書き込みます。
x ・・・ -3 ・・・ 1 ・・・
f'(x) + 0 - 0 +
f(x)    

 表を見ると、x=-3の左側では値が増えており、逆に右側では減っていることが分かります。これはつまり、 x=-3でピークを取ることを意味します。つまりx=-3では極大になることが分かります。また、x=1の左側では値が 減っており、右側では増えていきます。これより、x=1では極小になるということが分かります。最後にこのときの f(x)の値を求めて、表に書き込みます。
fm5-4.png
x ・・・ -3 ・・・ 1 ・・・
f'(x) + 0 - 0 +
f(x) 28 -4

以上より、極大点は(x,y)=(-3,28)、極小点は(x,y)=(1,-4)であることが分かりました。