三角比・三角関数

三角関数  まず三角関数によく出てくるcos,sin,tanの定義について解説いたします

 私自身多くの受験生を見てきましたが、cos,sin,tanの定義がきちんと出来ている人は殆どいないように見受けられます。 「オレ出来てるよ!」と言われる方もいると思いますが、直角三角形を考えていませんか?
 すなわち sinθ = [直角三角形の高さ] / [直角三角形の斜辺] がsinの定義だ、とか思っていませんか?


        全然違います    

 三角形で定義されている方は実際に大学生になっても沢山いますし、学校の先生もそれだけを教える人も多くいるでしょう。
習い始めの頃はそれで十分なのですが、それでは不完全です。例えば、そういう定義をしている子に「θが270度とかになったらどうするの?? 三角形作れないじゃん?」と聞くと、大抵の子は答えられません。三角形でだけで三角関数を定義するにはやや難があるのです。



三角関数  しかし、まずは三角関数をまったく知らない人のために直角三角形による定義について説明します。
 右図のような斜辺の長さ・高さ・底辺がそれぞれa,b,cという長さの直角三角形があったとします。そしてこのとき右図のようにθという角度をとったとき cosθ,sinθ,tanθはそれぞれ


三角関数    三角関数    三角関数

と定義して、それぞれcos[コサイン],sin[サイン],tan[タンジェント]と読みます。
は?cos?sin?なにそれ?と思われる方もいるかと思いますが、今は気にしないでください。だってcos,sinなんて三角形で説明出来ないんですから(笑)
 分母がどれで分子がどれだっけ??という方は下の図をご覧ください。

三角関数

cos,sin,tanをそれぞれの英語の頭文字の[c][s][t]を筆記体で大きく書くと上のように書くことができます。このように書くと[分母]->[分子]の順で 決まるので、暗記しやすいかと思います。




しかし、理解するには先ず練習です。


三角関数 右図のような図形がある時、cosθ,sinθ,tanθはそれぞれいくつでしょうか?

上の公式をチラチラ見ながら確認しましょう。
三角関数,     三角関数,      三角関数
ですね。



三角関数 右図のような図形がある時、cosθ,sinθ,tanθはそれぞれいくつでしょうか?

上の公式をチラチラ見ながら確認しましょう。
三角関数,     三角関数,      三角関数
ですね。



三角関数 右図のような図形がある時、cosθ,sinθ,tanθはそれぞれいくつでしょうか?

 上の公式をチラチラ見ながら確認しましょう。
三角関数,     三角関数,      三角関数
ですね。しかしこの答えは約分することにより前の問題の答えとピタリと一致しています。なぜだか分りますか?
 上の問題の三角形と今回の問題の三角形は相似な三角形だったため、です。相似な三角形の場合、角度θの値も同じ値に なりますね。
θの値が同じだとcosθ,sinθ,tanθは同じ値になるのです。
つまり言いかえれば cosθ,sinθ,tanθとは角度θによって決まる値 である、ということです。
<辺の大きさによって決まるのではなく、辺同士の比で決まるということ>
このことは念頭に置いて下さい。



三角関数 cos30,sin30,tan30の値をそれぞれ求めなさい。

 先程の問題で述べたようにcosθ,sinθ,tanθとは角度θによって決まる値なので どんな直角三角形があるか、といった図形の形状によらずにcos30,sin30,tan30の値は一つに決まるのです。



三角関数
 好きなように求めれば良いわけなので、直角三角形が無ければ自分で作ればいいのです。
 どのように作ってもいいのですが、ここでは右図のように垂線を下ろし 直角三角形を作りました。すると、図のように残った角度の大きさも60°と分かりますね。
これで少し見栄えが良くなりましたが、このような三角形は見たことがありますでしょうか?


三角関数
 これは30°・60°・90°の有名角を持つ三角形と呼ばれており、実は正三角形を2分割することで得られる三角形なのです。
 cosθ,sinθ,tanθとは辺の大きさによって決まるのではなく、辺同士の比で決まる
という ことを考えれば、ここである大きさを「1」と定めても問題ありません。そこで右図のように辺の長さを定めることにいたしました。
 あとは何をすればよいのか分かりますか?




三角関数  求めたい直角三角形に注目を再び移します。
 すると三平方の定理から底辺の大きさは
三角関数 によって求められます。あとは今までと同様にcosθ,sinθ,tanθを求める計算を行って


三角関数,     三角関数,      三角関数

ですね。有名角の問題は非常に有名な値なので覚えておきましょう。



三角関数 右図のような図形がある時、底辺と高さはそれぞれいくつでしょうか?

 上の公式を見て、底辺と高さを求める式を作りましょう。
三角関数,     三角関数
という式が作れますね。
 そこでこの式の中に各値を入れてみましょう。すると
三角関数,     三角関数
となります。このcos,sinの値は先程求めましたね。その値を代入すれば
三角関数,     三角関数
と書くこともできます。



三角関数 右図のような図形がある時、底辺と高さはそれぞれいくつでしょうか?θを使って答えなさい。

 さっきの問題と殆ど同じですね。上の問題の10が1,30°がθに置き換わっただけです。なので
三角関数,     三角関数
という解が得られたかと思います。


三角関数


答えの図が左になります。この図を後に出てくるので良く覚えていて下さい。