二次関数
最大・最小
ここでは二次関数の最大・最小の話をしましょう。二次関数は通常y=ax2+bx+cのような形をしています。これの最大値・最小値を 求めるとはどういうことかというと、yが一番大きく(小さく)なるようなxの値と、そのときのyの値を求めるということです。
たとえば下に凸な二次関数を考えてみましょう。この場合、最小値は間違いなく頂点のy座標になるでしょう。 では最大値はどこになるでしょうか?xが無限に大きく、もしくは無限に小さくなっていくと、それに従ってyは無限に大きくなります。 こういう場合は最大値は無しということになります。
上のような場合は、別に考えても何も面白くありません。厄介なのはxの取りうる値(つまり定義域)が制限されているときです。 このような場合、定義域の両端、もしくは放物線の頂点において最小・最大となります。放物線が上に凸か下に凸か、定義域は閉区間 なのか開区間なのかなど、考えることはたくさんありますが、基本的には中学で習う内容と大差ないでしょう。
放物線が動く場合
さて、実はさらにややこしい場合というのが存在します。ここまで理解できれば二次関数の最大・最小はほぼ完璧です。
その場合というのは、二次関数の式の中に文字で表される定数が含まれる場合です。例えば以下のようなものがそうです。
例:y = x2 - 2ax + 3 (0 ≤ x ≤ 2)
この場合、aの値によって定義域の右端、左端そして頂点のx座標がどういう位置関係にあるかが変化し、それによって答えが
変わってきます。つまり場合分けが必要になります。
ではどのように場合わけをすればいいでしょうか?いま知りたいのは、定義域の両端に対して、頂点がどこにくるかということです。
頂点の座標が知りたいときにすることといえば平方完成です。
平方完成については2次方程式で触れた平方完成の手法を参考にしてください。
ということで、まずはこの式を平方完成してみましょう。
y = x2 - 2ax + 3 = (x - a)2 - a2 + 3よって頂点の座標は(a, -a2+3)と分かりました。これをもとに場合分けをしてみると以下のようになります。
- a<0のとき
- 0≤a<1のとき
- 1≤a≤2のとき
- 2<aのとき
どうしてこのような場合分けになるのでしょうか?それを理解するために以下の図を見てください。
まず1の場合(左上)ですが、これは図から明らかにx=0のとき最小、x=2のとき最大になるでしょう。つまり
a < 0:
x = 0 のとき最小値 3
x = 2 のとき最大値 - 4a + 7
次に2の場合(右上)ですが、この場合は頂点が定義域内にあり、かつグラフが下に凸なので、頂点で最小値を取る ことがわかります。では、最大値はx=0,x=2のどちらになるでしょうか?この場合は、頂点が定義域内の左側にあるので、 定義域の右端、つまりx=2のときの方が値が大きくなります。よってx=a(頂点)のとき最小、x=2のとき最大です。
0 ≤ a < 1:
x = a のとき最小値 -a2 + 3
x = 2 のとき最大値 - 4a + 7
3の場合(左下)も2と同様に頂点で最小値を取りますが、今度は頂点が定義域の右半分にあるので、x=0で最大値を 取ります。
1 ≤ a ≤ 2:
x = a のとき最小値 -a2 + 3
x = 0 のとき最大値 3
4の場合(右下)は1と同様、図から明らかにx=0で最大、x=2で最小となります。
2 < a:
x = 2 のとき最小値 - 4a + 7
x = 0 のとき最大値 3
以上が例題の答えとなります。4つの場合全てを答えて正解です。このタイプの問題は正直言ってとても面倒くさいです。 しかし、やっていることは大して難しくなく、要するに頂点もしくは定義域の両端のうち、どこが最大になり、どこが最小になるのかを 絵を描きながら考えるだけです。
とにかくまずは平方完成をし、頂点の座標を調べる。そしてそれが定義域に対してどのような位置に あるのかを調べ、丁寧にまとめる。この作業が正確にできるようになるには少々練習が必要かと思います。困ったらとにかく絵を 書きましょう。数学はお絵描きの科目だと私は思っています。それさえ面倒くさがらずにやれば、もっと難しい問題に直面 したときにも対応できるでしょう。