2次方程式
さて、今までは x2の係数が1のものだけ、すなわち x2+bx+c の形のものだけを扱ってきたわけですが、
一般には x2の係数が1だとは限らず、2だったり5だったりとするわけです。ここで一般の2次方程式における因数分解を学びましょう。
3x2+10x+3 の式を因数分解することを考えます。
x2の係数が1でない、といっても基本的には今までと同様に計算を行います。
しかし、因数分解をした際のカッコの中に含まれる x の係数が今までと異なり「1」とは限りません。そこで次の様な図を考えて下さい。
先ずは今までと同様にx2 と 定数項 に着目をします。先程までは意識の薄かったであろうx2にもきちんと注意する必要があります。
右図では因数分解全体の意識の置き方を説明しています。因数分解した際のカッコの中に含まれる x の項・定数項同士の掛け算がそれぞれ、もとの展開した形の式の x2 と 定数項をそれぞれ形成することになります。
その点に注意すると、因数分解した際のカッコの中は 、元の式のx2・定数項の素因数分解した値が入るということになります。
今回の問題を見てみるとx2の係数は3になっています。しかし、2つの数の掛け算で3を作る方法は1×3の1通りだけですね?
よって右図のように
3x2+10x+3 = (x )(3x ) < (3x )(x )でも可 >
という形で表記できます。まずはここまで解答用紙に書いてしまいましょう。
さらにこの際にもう一つ注意しなくてはいけないのが、右図の内容です。すなわち元の式の x の係数に帳尻を合わせるということです。
ここが因数分解の一番の難点ともいえるでしょう。 x2・x・定数項の値がピタリと一致すれば因数分解が終了します。
さてそれでは答えの形が(x )(3x ) と分かったところで x の係数が一致するように定数項の掛け算の方法を考えます。基本的には考え方としては 今までと同様ですね?定数項の値が掛けて3になるように、ということを考えると1×3しかありませんからこの値がどちらの空欄に入ればよいか考えます。
また今までと同様に x の項・定数項がそれぞれ正か負かを注意しておきましょう。
1と3を代入すれば良いわけですが、内側同士・外側同士の掛け算の結果の合計が x の項になるということには注意しましょう。 そしてこの計算を頭の中で出来るように今後心がけて下さい。慣れてくれば暗算でも素早く計算出来るようになります。
掛け算の合計が 10x になる組み合わせを考えると、 (x+3)(3x+1)が答えだと分かります。
3x2-8x+4 の式を因数分解することを考えます。
もう一問練習することにします。最初に行う操作はなんだったか、というとまず x2 の項について考える、ということでしたね?3=1×3ということを踏まえると、 因数分解した際のxの前に付く係数は先程の問題と同じで一意に決まります。
よって右上図のように
3x2-8x+4 = (x )(3x )
という形で表記できます。まずはここまで解答用紙に書いてしまいましょう。
さてそれでは残りの空欄部分にも数値を入れていきます。そこで何を考えるかというと次に定数項について考えるということをしていました。
定数項の値 4 を作るためにはどういった掛け算で表せるか?というと
1 × 4 = 4
2 × 2 = 4
の2通りの組み合わせがあります。
上で得た二つの組を用いて最後に正負を考えながら候補となる値を代入しxの係数に揃えるということを行えば良いのです。 x の係数が負であることに注意しておきましょう。
全部で右図で示されたような代入方法がありますが、右図のこれらの計算を暗算で行いましょう。そして -8x となれば良いのです。
掛け算の合計が -8x になる組み合わせを考えると、 (x-2)(3x-2) が答えだと分かります。
5x2+7x-6 の式を因数分解することを考えます。
さらにもう一問練習することにします。最初に行う操作はなんだったか、というとまず x2 の項について考える、ということでしたね?5=1×5ということを踏まえると、 因数分解した際のxの前に付く係数は先程の問題と同じで一意に決まります。
よって右上図のように
5x2+7x-6 = (x )(5x )
という形で表記できます。まずはここまで解答用紙に書いてしまいましょう。
さてそれでは残りの空欄部分にも数値を入れていきます。そこで何を考えるかというと次に定数項について考えるということをしていました。
定数項の値 6を作るためにはどういった掛け算で表せるか?というと
1 × 6 = 6
2 × 3 = 6
の2通りの組み合わせがあります。ここで得た二つの組を用いて最後に正負を考えながら候補となる値を代入しxの係数に揃えるということを行えば良いのです。
定数項の値が負であることを考慮すれば、今回は内側同士・外側同士の掛け算の結果の差を考える必要がありますので注意しておきましょう。 全部で右上図で示されたような代入方法がありますが、右上図のこれらの計算を暗算で行いましょう。そして +7x(差が7) となれば良いのです。
差が7となるためには空欄の中にはそれぞれ(2と3)が代入される必要があります。
さらに正負に注意して、掛け算の合計が +7x になる組み合わせを考えると (x+2)(5x-3) が答えだと分かります。
これで紹介したい因数分解の解き方をおおよそ紹介したことになりますが、ついてこれていますでしょうか?
下に練習問題を用意しましたので是非取り組んでみて下さい。
6x2-13x+6 の式を因数分解することを考えます。
今までは実はx2の係数が2・3・5・7・11・・・といった素数の場合の問題ばかりを考えてきましたが、今回は6という素数ではない値になっています。
「何が違うの?」と感じる方もいるでしょうが、大分計算の煩雑さが変わってきます。一旦今までの内容を復習してみましょう。
今までの問題との違いが分かったでしょうか?よって今回は ( x )(6x ) と (2x )(3x ) の両方のケースを視野に入れなくてはいけない、ということです。
なので例えば最初は ( x )(6x ) を仮定して計算してみて、それで答えが見つかりそうになければ、もう一方の仮定に切り替える、ということを してやる必要がある、ということです。
ただどちらを仮定すべきか?という話なのですが、これはあくまで私の経験則ですが、 掛け算の2つの組の差が小さいものほど先に仮定してみると良い です。
つまり今回の問題のケースですと (2x )(3x ) を仮定してみて、だめだったら (x )(6x ) を仮定にした方が良いということです。(あくまで経験則ですが)
例えばもし 12x2+11x-5 の因数分解であれば 12 = 1 × 12 = 2 × 6 = 3 × 4 なので
1: (3x )( 4x )
2: (2x )( 6x )
3: ( x )(12x )
の順番で調べるのが良いでしょう。
さて実際に (2x )(3x ) を仮定して 6x2-13x+6 の因数分解を考えてみましょう。
この後の操作は今までの解き方とまったく同様です。定数項の値 6を作るためにはどういった掛け算で表せるか?というと
1 × 6 = 6
2 × 3 = 6
の2通りの組み合わせがあります。なので上図のように実際に代入して x の項が -13x になる解があるかどうか考えてみて下さい。
すると (2x-3)(3x-2) が答えだと分かりましたので終了です。ここで答えが見つからなければ (x )(6x ) を仮定してみれば良い、ということです。
以上で一般の因数分解の説明を終了いたします。ここでは一切紹介しませんでしたが、一般の教科書ではたすき掛け等の解説が載っていることと思いますが、 自慢じゃありませんが、こちらで紹介した方法の方が早いです!因数分解の計算は早いに越したことはありません。計算精度はどうなの?と思う方もおられるでしょうが計算精度も高いです。
また自分の因数分解した答えの結果に自身がなければ、確かめ計算をすればいいのです。何をすれば良いのかと言うと、自分で出した答えを展開して元の式になればよいのです。展開と因数分解は逆の操作なのですから。速く解けるほど この確かめ計算をする時間も確保出来る、ということになるのです。最初は慣れないかも知れませんが、頭の体操だと思って暗算で素早く解く練習をしてみましょう。
以下の総合問題に取り組んでみて下さい。
以上で因数分解についての解説を終了いたします。因数分解も慣れてくれば、上の問題も5秒以下で解答出来るようになりますし、後に3次方程式等の因数分解をする必要が出てきた時にも役立ちます。 基本となる計算だからこそ大切にして、かつ時間を掛けずに解けるようになりましょう。