2次方程式
前ページでは因数分解をするために2次方程式を解くということ
を行いましたが、その内容を押さえた上でここでは解と係数の関係という分野について学んでいきます。
まず解と係数の関係について全く分からない、という方もいるかと思いますが簡単にまとめますと
となる。という公式です。要するに ax2+bx+c = 0 の2つの解α・βは
という汚い式の形をしているのに
それらの和は
α+β= - b /a
それらの積は
αβ= c /a
という形で綺麗な式をしている!という公式です。この公式は非常に便利ですし、形も綺麗なので絶対に覚えて下さい。α+βの場合にはマイナスが付くのを忘れないでくださいね。
さて公式を紹介しただけでは無意味なので、まず導出について説明します。ここでは2種類の導出方法を紹介します。
解と係数の関係?導出方法1
実は前ページの内容を押さえていれば解と係数の関係は簡単に理解出来ます。前ページで
という話があったのを覚えていますか?実はこの ax2+bx+c = a(x - α)(x - β) を展開すれば良いだけの話でして、実際にやってみると
ax2+bx+c = a(x - α)(x - β) = ax2 - a(α + β)x + aαβ となります。
すると ax2+bx+c = ax2 - a(α + β)x + aαβ の両辺の係数を比較してあげると
x2の係数: ax2 = ax2
xの係数: bx = - a(α + β)x
定数項: c = aαβ
という関係 が見えてきます。x2の係数については既に一致している(というよりはそうなるように式を作った)のでxと定数項について比較してみると・・・
α+β= - b /a
αβ= c /a
ということが分かります。前回の内容を押さえていれば案外簡単に導出出来ましたね。この解と係数の関係については導出含めて頭に入れるようにして下さい。
解と係数の関係?導出方法2
前ページの内容を押さえてない人のために・・・ということでもう一つの方法を紹介します。しかしこの方法はただのごり押しという感じです。 先程紹介した導出方法1で理解出来る人はそちらで理解した方がよろしいかと思います。何をするのか、と言いますと解の公式で求めた答え を利用して実際に足し算と掛け算をするのです。
まずα・βの値についてですが、これは の値を割り当てれば良いので
とおきます。このときα・βの値を真逆にしても差し支えありません。
あとは計算すればよく
α+βという和については
αβという積については
とすることで求められます。人によってはこちらの方法の方が楽かもしれませんが、導出方法1を理解出来るようにしないと後々苦労します。
さて証明が終わったところで一回練習問題に触れてみたいと思います。
解と係数の関係が分かったけど、一体に何のために使うの?ある2次方程式の解の和と積が分かったからって何になるの??と思う方もおられでしょう。 そこで実際に解と係数の関係が役立つ問題について触れてみます。
x2-2x+1=0 の2解をα・βとしたときに α2+β2 の値を求めなさい。
いままでのような α+β・αβ ではなく α2+β2 です。まず絶対にやって欲しくないのが、 α・β の値を実際に代入するということです。このようなやり方では 計算ミスも増えますし極端に遅いので絶対に止めて下さい。
そこでどうするのか、というと α2+β2 を α+β・αβ 用いて記述するということです。具体的には次のように書けます。
α2+β2 = (α+β)2 - 2αβ
たしかにこのように書くと α+β・αβ のみを用いて式変形出来ていますね。なので上の問題を実際に求めると
α+β=2, αβ=1
とかけるので
α2+β2 = (α+β)2 - 2αβ = 22 - 2・1 = 2
となります。複雑な計算など一切することなく計算できました。
α2+β2 = (α+β)2 - 2αβという式変形が難しい、と思われるでしょうが慣れてくればパズルのようなものに見えてきます。そんなにパターンもないので、 もう少し問題に触れてみましょう。
x2-2x+1=0 の2解をα・βとしたときに 1/α+1/β と α3+β3 の値を求めなさい。
やることは一つだけでして α+β・αβ 用いて記述するだけです。実際にやってみますと
1/α+1/β = (α+β)/αβ = 2/1 = 2
α3+β3 = (α+β)3 - 3αβ(α2+β2) = 23 - 3・1・2 = 2
となります。この式変形さえ出来ればあとはどうとでもなります。 α3+β3については先程求めた α2+β2 も利用することにしました。
さて、この手の問題でもう一つ知っておいて欲しい事がありまして、それは対称式というキーワードです。
対称式とは今まで見てきた α+β,αβ,α3+β3 といった式のことでして、定義は式中の文字を入れ替えても同じ!というものです。
例えば α+β の場合ですと式中で現れる α・β をそれぞれ入れ替えても同じ式になりますよね。
α+β = β+α
という具合です。このようなものを対称式と呼びます。その他にも対称式の例を挙げますと
αβ = βα
α2β2 = β2α2
α2+β2 = β2+α2
α3+β3 = β3+α3
α4+β4 = β4+α4
(α-β)2 = (β-α)2
1/α + 1/β = 1/β + 1/α
β/α + α/β = α/β + β/α
(α2+β2)2/αβ + α + β = (β2+α2)2/βα + β + α
といった具合です。
そしてこれらの対称式には重要な性質がありまして、それが α+β,αβ のみを用いて表すことが出来るというものです。実際に見てみると
α2β2 = (αβ)2
α2+β2 = (α+β)2 - 2αβ
α3+β3 = (α+β)3 - 3αβ(α2+β2)
α4+β4 = (α2+β2)2 - 2α2β2
(α-β)2 = (α+β)2 - 4αβ
1/α + 1/β = (α+β)/αβ
β/α + β/α = (α2+β2)/αβ
といった具合です。見事に全て α+β,αβ だけで表すことの出来る式になっていますね。
解と係数の関係の問題ではこのような対称式を α+β,αβ のみを用いて表し、それを利用することで求めるというのが常套手段になっています。とはいっても上に挙げたような式変形ぐらいしか出題されないので 慣れれば簡単に出来るようになります。・・・ということであとは練習あるのみです。
下の方の問題はやや計算が煩雑になっていまいましたが、重要なのは対称式を変形させて代入!ということです。この分野をきちんと理解出来るかどうかで受験問題への取り組み方も大分変ってきます。 きちんと理解するようにして下さい。